「Winny事件大阪高裁判決は全くおかしい」がおかしい

Twitter上でyuyarin氏が挙げていた「Winny事件大阪高裁判決は全くおかしい−JanJanニュース - http://www.news.janjan.jp/living/0910/0910141635/1.php」が妙につぼにはまったので揚げ足取りをしてみる。

この記事はWinnyの無罪判決をおかしいと主張している記事だ。まず、

Winnyの作者は、最初からWinnyを『ファイルコピー用ソフト』として作っている」という点を、まず、重要視しなければならない。

Winnyの違法性を主張しているのだが、これは筆者の主観に過ぎない。大阪地裁は「大阪高裁、ファイル共有ソフトWinny」の開発者に無罪判決 - GIGAZINE - http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20091008_winny_47/」の記事に書いてる判決要旨によると

「技術は著作権侵害に特化したものではない」「多様な情報交換の通信の秘密を保持しつつ、効率的に可能にする有用性があるとともに、著作権の侵害にも用い得るという価値中立のソフトである」

と、「Winny著作権侵害目的に作られたソフトではない」と判断してからである。

よって筆者が前半で

つまり「包丁が殺人に使われたら、包丁を作った職人が『殺人罪の幇助』になるのか」という発想自体が、トンチンカンで、まるっきり「おかど違いな発想」なのである。

で主張している「道具が本来の使用目的外で犯罪に使われた場合に、道具の作者が幇助罪にあたることはない。」という主張と組み合わせると、「Winnyは無罪」となるのである。

筆者はWinnyは違法コピー目的に作られたソフトだと思い込み、Winny作者の有罪を望んでいたのだと思うが、実際の法廷の場ではWinnyは違法コピー目的で作られたソフトではないとし、Winny作者に無罪を言い渡している。この部分はきちんと認識しておく必要があると思う。

ただし、Winnyは使わない方が安牌というのはありだと思う。

補足として

わが国では、「コピー実行用のソフトは、一体何に使われるのか」といえば、圧倒的に多いのは、「今流行している音楽のコピーや、今話題になっている映画など映像コピー」だろう。

の部分で少し気になった点があるので書いておく。
1つ目は「コピー実行用のソフト」と「ファイル共有ソフト」が混同されている点だ。コピー実行用ソフトと言うとWindowsExplorerのファイルコピー機能やcopyコマンド、unix/linuxのcpコマンドまで含んでしまう。用語を正しく使って欲しかった。
2つ目は、筆者が自分の主観で事実を定義しようとしてしまっている点だ。ただしこれについては大体合っているので大きな問題ではないかもしれない。

Winny事件大阪高裁判決は全くおかしい−JanJanニュース - http://www.news.janjan.jp/living/0910/0910141635/1.php
阪高裁、ファイル共有ソフトWinny」の開発者に無罪判決 - GIGAZINE - http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20091008_winny_47/